ホワイトハウスコックス社はロンドンから北の方に列車で約3時間ほどの街、ウォルソールにあります。
ホワイトハウス・コックス社は、ホワイトハウス氏とサミュエル・コックス氏によって1860年に創業しました。
ホワイトハウス・コックス社の100年以上にも及ぶ長い歴史の中で、創業当時から貴族たちの要望にこたえる高級馬具製造メーカーとして、乗馬用の鞍や手綱などの高品質な馬具を製造し繁栄していきました。
第一次世界大戦後は自動車の普及とともに馬具の需要が激減したため、英国軍に納めるベルトやガンケースなど様々な軍需用のアイテムを製造もしてきました。
その後、大きな変革期が1930年代に訪れます。まずはペット用の首輪を製造。
そして当時の英国上流階級の人々から要望を受け、既存の製造品目の中にカフスボタン入れ、カラーボックス・シェービングキットなどのスモールレザーグッズ、そして移動用のバッグやラゲージなどのファッション性の強いアイテムが加わるようになりました。
その年代に製造されたアイテムの素材は、殆どが乗馬用の鞍に多く使用されていたブライドルレザーで、その革でこのようなアイテムを作ることは、当時としては非常に斬新なアイデアでした。
今日でもなお、ブライドルレザーは硬くて財布などの小物には向かないというタンナーもいるほどですから。
しかしホワイトハウスコックスはその頃から現在と同じ製法で生産しています。
1970年代後半、またもやホワイトハウス・コックスに大きな転機が訪れます。
それまでは英国内での百貨店や専門店が主なマーケットだったのですが、たまたま、高級百貨店『ハロッズ』のペット用品コーナーで、ブライドルレザーでつくられた犬の首輪や、丁寧に手で編まれたメッシュのリードを見た、ニューヨークのデザイナー『ラルフ・ローレン』からそれを元に人間用のベルトにアレンジしたいと依頼を受け、それをポロ・ブランドで商品化し、後に大ヒットになりました。
その後、この噂を聞きつけた世界中のバイヤーやデザイナーから数々のオーダーを受け、マーケットは英国内にとどまらず世界中に広がりました。
続いてホワイトハウスコックスの名を一躍有名にしたのが美しいメッシュベルトです。
そこにはかつて手がけた馬の手綱や、1900年初頭に帆船で使われたロープのデザインが再現されています。
そして現在も、全ての製品において、見た目のデザインだけにとどまらない馬具製造の時代と同じ職人気質が受け継がれています。
ホワイトハウスコックスのブライドルレザー製品は長く使いこむほどに独特の風合いが出てくることも大きな魅力であり、長く使うことを前提として修理にも対応するなどサービスも最高レベルのものを提供しています。
英国第2の都市バーミンガムから北西15キロほどの街「ウォルソール」にその本社工場はあります。
約40人の熟練した職人が一つ一つ手作業で製作していくその様子は、ホワイトハウスコックス社の品質に対するこだわりを十二分に示しています。
機械らしい機械はミシンのみですが、そのミシンもモーターミシンではなく、何十年も使い続けた足踏み式ミシンを使用しています。
このようなオールハンドメイドの生産方法で採算が合うのか、こちらが心配してしまいます。
彼らの熟練した手作業からあたたかみのある製品が生み出されます。
ほとんどの職人たちはこの道十数年のベテランばかりです。
手軽なプレゼントとして人気のキーホルダー。リングがつけられるのを待っています。
馬蹄形のコインケース。ビニール詰めが完了し、後は箱に入れたら出荷です。
目視による革の検品作業。革はタンナーより最高品質の革のみを仕入れています。
生産中のダレスバッグ。高価なダレスバッグがたくさん並ぶ様は、なんとなく感動します。
ダレスバッグの中に組み込まれる仕切り。ペン挿しとカード用ポケット、携帯用ポケットがついています。
生産中のブリーフケース。この生産ロットは全て日本向けだそうです。ここにあるたくさんのバッグは2ヵ月後には日本のお客様の手に渡ります。
犬用のリード(ひも)です。犬用の首輪などもつくっています。こちらの商品はホワイトハウスコックスブランドではなく、百貨店などにOEM供給しています。
奥が5代目社長のスティーブン・コックスさんで手前がショーンさんです。彼らの皮革に関する知識・経験がホワイトハウスコックス社の成功を支えています。
ブライドルレザーは、ホワイトハウスコックスで使用される革の中で、最も代表的な革です。
現在では、本物と言えるブライドルレザーを生産している所が、ほとんどありません。
しかし、ホワイトハウスコックスでは創業以来、一貫してブライドルレザーを別注でオーダーして使用しています。
またその品質に関しては、絶えずチェックをしています。
ブライドルレザーは、英国で最高のフルグレインカウハイド(成牛の一枚革)で、強く耐久性のある革です。
なめし方は樹皮や種子など自然の草木を使用したフルベジタブルタンニングで、約10週間かけて鞣されます。
その後、天然染料を使用し染色され、革の深部にタロー(獣脂)がしっかりとしみ込むまで、ブライドルグリースの中に浸します。
この作業にかなりの手間をかけ、上質なブライドルレザーを完成させます。
ブライドルレザー製品には、ブルームという白い粉状のものが現れるという特徴があります。
このブルームは、ブラッシングすることで革の中に戻ります。
原皮に最高級のフルグレイン・カウハイド(成牛の一枚革)を使用し、それに樹皮や種皮などの自然の材料でのフルベジタブル・タンニングで、約10週間かけて鞣したホワイトハウスコックス社特注のブライドルレザーをベースにアンティークブライドルは作られています。
アンティーク・ブライドルは本来のブライドルレザーには見られない、特殊な染色方法によって、手にした瞬間から長年使い込んだ様な深い艶と味わいがあります。
それは、ホワイトハウスコックスが選び抜いた良質な原皮と、オリジナリティー溢れる独自の加工が成せる技です。
ロンドンカーフは、仔牛の革をセミアナリーン鞣しの後に、ピグメントプリント(顔料染め)を施し、最後に細かい型押しプリント仕上げをしたものです。
ホワイトハウスコックスの中で唯一フルアナリーンではない革です。
ピグメントプリントフィニッシュの為、この革のケアは、殆ど必要ありません。
独特の凹凸感があります。
レザーバーム 主成分は、ホホバオイルとその他のオイルやワックスです。
ブライドルレザーだけでなく、カーフにも使用できます。
革の内側に浸透していくものではなく、革表面の保護とつや出しに最適です。
ブライドルレザーフード
ブライドルレザーをロウ引きするときに使用するロウと同じ成分で出来ているブライドルレザー専用ワックスです。
ブライドルレザーの中へ浸透していき、ブライドルレザーの性質を保持します。
乾いて硬くなってしまったブライドルレザーでも定期的に使用するとオイルが浸透し、革が柔らかくなり、元のブライドルレザーの状態に戻ります。
同時に色に深みが増します。
ケアブラシ
ブラシ部分には贅沢にも馬の髪の毛を使用しています。
ホワイトハウスコックスコレクションの革製品だけでなくお手持ちの革製品すべてにご利用いただけるブラシです。
【1】
主成分は、ホホバオイルとその他のオイルやワックスです。
ブライドルレザーだけでなく、カーフにも使用できます。
革の内側に浸透していくものではなく、革表面の保護とつや出しに最適です。
【2】
ブライドルレザーフードをほんの少し指先(または、ウェス)に取り、革に塗りこんでいきます。
最初に革の目立たない場所でテストし、色の具合ををチェックして下さい。
問題がないようであれば、少量のブライドルレザーフードを革の表面全体に行き渡るように、丁寧に薄く伸ばして下さい。
革の成分が極端に抜けた状態の場合、塗ったそばから革に吸収され、塗った感じがしない場合があります。
その時は二度塗りまたは多少多めに塗ってもよいでしょう。
つけすぎた場合にはウェスなどでふき取って下さい。
2トーンカラーの商品の場合、別の面に塗る際は色移りしないよう、一旦指についたブライドルレザーフードを洗い流して下さい。
同じくウェスを使用する場合は新しい面をお使い下さい。
【3】 そのままの状態で、約1時間ほど待ちます。
【4】 ケアブラシで、やさしく丹念にブラッシングをして下さい。
【5】 左の写真はブライドルレザーフードを塗る前と後です。 使用しているうちに抜けてしまった革の成分が補給され、革のボリュームが復元されたよな気がします。
【6】
次はつやを出すためにレザーバームを使用します。
(2)と同様にレザーバームを塗りこんでいきます。
【7】 ケアブラシで、やさしく丹念にブラッシングをして下さい。
【8】
写真左はブライドルレザーフードを塗った後、写真右はさらにレザーバームを塗った後です。
写真では分かりにくいかもしれませんが、革に潤いとつやが出ています。
革がリフレッシュするといい気分になりますね。
※ブライドルレザーフードやレザーバームの見た目の効果は革の状態やメンテナンスの間隔によります。